オンプレミスからパブリッククラウドに移行する際に留意すべきこと
オンプレミスからパブリッククラウドに移行する時、どのようなことに注意すべきなのでしょうか?ここでは、「知らずに困った!」とならないよう、基本的なポイントをご紹介していきます。
オンプレミスとパブリッククラウドは基本的には別物ということを意識しながら確認してみてください。
この記事の目次
教育・学習コスト
一言でパブリッククラウドと言っても、「AWS」、「Microsoft Azure」、「GCP」、「Alibaba Cloud」など様々なサービスがあります。これら全て仕様も違えば管理画面の操作方法も違います。
既に移行予定のパブリッククラウドに明るいエンジニアが社内にいれば問題ないのですが、そうでない場合はパブリッククラウドの仕様や、その違いを理解するための教育・学習コストがかかってしまうことに留意しなければなりません。
予算・利用料の適切な管理
パブリッククラウドは、リソースの利用量に応じた従量課金制を採用していることが多いため、移行初年度の予算を適切に立てるのが難しいとされてます。もちろん各社にて料金計算ツールは用意されてますが、好きな時に好きなだけリソースの追加・削除ができてしまうので、リソース管理の面においては柔軟性があると言えますが、予算の面ではある程度計画的に利用する必要があります。
また移行するシステムの規模が大きかったり構成が複雑な場合は、想定通りにいかないことがあり、上位のリソースを利用しがちになります。このような場合は後々ゾンビリソースの精査やRI(リザーブドインスタンス)の利用を検討しパブリッククラウドの利用コストを最適化していく必要があります。
パブリッククラウドの仕様に合わせた設計・運用
どのパブリッククラウドに移行するか決まったら、そのパブリッククラウドの仕様に合わせた設計・運用を考えなくてはなりません。基本的にどのパブリッククラウドも利用者が仕様を変えることはできないので、既存システムの環境を仕様に合わせて変更する必要があります。
特に複数の機能を持ったサーバ群がある場合に設計が難しくなる場合があり、さらに移行時にシステム間の連携の問題で移行が困難になる事もあるので、移行とその先の運用まで見据えた設計を心がけましょう。
オンプレミスとの違いはいくつもありますが、特に冗長化の概念が認識と違ってしまうケースがあるので、ロードバランサの利用やミドルウェアレベルでの冗長化をしっかりするようにしましょう。
既存システム全てを移行するわけではなく一部のシステムを移行する場合などには、ネットワークの繋ぎ込みが必要不可欠となります。VPNや専用線で接続する方法もありますが、既存のデータセンタと複数のパブリッククラウド感を接続するようなサービスもあるので必要に応じて検討しましょう。
既存環境の調査と対策
移行後に問題を起こさないためにも、設計を進めるうえで既存環境の調査はしっかりと実施しましょう。既存サーバやVMのスペック、OSやミドルウェアのバージョン調査はドキュメントではなく実機にログインするなどして確認しましょう。ドキュメントの更新漏れなどがあるので実機のコマンド結果などを正とした方が良いでしょう。
OSやミドルウェアのバージョンが古い場合などに移行先のパブリッククラウドで同じものが用意できない事もあるので、必要に応じて事前にバージョンアップする事も検討しましょう。
また、OSやソフトウェアのライセンスがオンプレ用のライセンスとなっている場合もあるので、既存のライセンスをそのままパブリッククラウドに持って行って良いかの確認も必要です。ライセンスによってはクラウドが認めらていないものや別途クラウド用のライセンスが用意されており、移行後にライセンスを入れ直さないといけないケースもあります。
パブリッククラウドへの移行に限った事ではないのですが、アプリケーションにIPやIDがハードコーディングされておりアプリの改修が必要になる事もあるので、事前に対策しておきましょう。
移行前のテストと計画、移行の実施
パブリッククラウドの仕様に合わせた設計ができたら移行です。本番移行する前に必ずリハーサル用の仮想マシンを立ててシステム間の通信などに問題が無いかをチェックしましょう。移行方式もパブリッククラウド各社が用意している移行ツールであったりバックアップソフトを利用したRestoreやコンテンツのみの移行といったように様々な移行方法があるので、環境に合わせて選択しましょう。
パブリッククラウドではよくあることですが、仮想マシンのグローバルIPがデフォルトでは動的なIPを使用していることが多いので、staticなIPに変更するのを忘れないようにしましょう。
想定外の事象が発生することはよくあるのでシステム停止時間は十分に確保しましょう。また、「移行期間をどの程度設けるか」「完了のタイミングはいつにするか」「既存環境の解約はいつにするか」まで計画し、予定通りに完遂しないとインフラコストが多重で発生してしまうので注意が必要です。
部分的なクラウド化や、ハイブリッドクラウドの検討
オンプレミスからパブリッククラウドに全てを移行するというのは環境によっては運用レベルの変更や移行に必要な停止時間を確保できないなどの理由から難しいケースがあります。
もちろん、パブリッククラウドには各社それぞれ数多くのサービスとオンプレミスには無いメリットも沢山ありますが、「本当にそのシステムをパブリッククラウドに移行するべきなのか?」「そのシステムの機能や目的が本当にパブリッククラウド上での運用に適しているのか?」といった点をメリットと共にデメリットも深く考え慎重に移行計画を立てるべきです。
既存のオンプレミスのシステムを耐用年数などの都合上どうしてもリプレースしなくてはならない場合は、パブリッククラウドより柔軟なプライベートクラウドも検討すると良いでしょう。ただ、この場合も二者択一ではなく、オンプレミスからの移行をパブリッククラウドとプライベートクラウドへ段階的に実施することによって双方の良さを生かし、システムの機能や目的、運用に適したインフラ環境を構築することが可能となります。
利用しているシステム・アプリケーションにも向き不向きがあるのでオンプレミスから移行を検討する際はパブリッククラウド独特の特性を理解した上でハイブリッドクラウドなども視野に入れ自社に適した環境を導入しましょう。
まとめ
ITインフラはオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドそれぞれにメリット/デメリットがあります。一概に、「どのプラットフォームを選択すべきか」と言うことはできません。大切なのは移行対象のシステム・アプリケーションの特性や自社リソースに応じて、どのプラットフォームが適切か判断すること、そして必要に応じて使い分けることです。
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