
【2026年対応】Akamai中国撤退後のCDNはどう選ぶ?|CloudflareとAlibaba Cloud CDNを解説
こんにちは!クララのクロスボーダービジネスチームです。
2026年6月、Akamaiが中国本土でのCDNサービスを終了するという発表がありました(※1)。これまで中国向けの高速配信にAkamaiを活用していた企業にとっては、大きな見直しのタイミングですよね。
Akamaiは移行先としてTencent CloudやWangsu(网宿科技)を推奨していますが、「それ以外にどんな選択肢があるのか」「グローバルでも一貫した運用を維持したい」といった声も多く寄せられています。
そこで今回は、CloudflareとAlibaba Cloud CDNという2つの有力な代替手段について、特徴や導入時の注意点をわかりやすくまとめました。
この記事の目次 [とじる]
Akamaiの中国撤退で起こる影響とは?
Akamaiは2026年6月末をもって、中国本土でのCDNノード提供を終了します(※1)。
これにより、これまで中国国内のユーザーがローカルノードから高速でコンテンツを受け取れていた環境が一変。今後は、香港や東南アジアのノードを経由することになり、表示の遅延や接続の不安定化が懸念されます。
(※1)Akamai Technologies, Inc. による公式発表
“Akamai China CDN End-of-Life Announcement”
発表日:2024年12月中旬頃(複数メディアで報道あり)
例:
https://www.akamai.com/newsroom/press-release/akamai-to-discontinue-mainland-china-cdn-services-by-june-2026
※参考報道:The Register, DataCenter Dynamics ほか
他にどんな代替手段がある?
Akamaiの案内に従ってTencent CloudやWangsuへ移行するのも選択肢の一つです。
ただし、以下の2つも注目度が高く、特にグローバル展開している企業や中国とのネットワーク強化を重視する企業にとっては有力候補です。
- Cloudflare(グローバル運用の一貫性を重視する企業向け)
- Alibaba Cloud CDN(中国国内向けに最適化された高速CDN)
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
Cloudflare China Networkとは?
JD Cloudとの提携で実現する中国配信
Cloudflareは、通常の無料~Businessプランでは中国国内での配信に対応していません。
しかし、Enterprise契約者向けの「China Network」を利用すれば、中国本土での配信が可能になります。
この仕組みはJD Cloudとの提携によって構築されており、JD Cloudが保有する中国国内のインフラを活用する形でCloudflareの機能が使えるようになっています。
Cloudflare China Networkの主な特徴
- ノード数:約30カ所(JD Cloudの中国国内ノード)
- 必須条件:Enterprise契約、China Network追加申請、ICP登録
- 利用可能な機能:WAF、DDoS防御、Bot管理、Workersなど、Cloudflareの高機能をそのまま利用可能
- 参考:Cloudflare公式 China Network 導入ガイド
<https://www.cloudflare.com/ja-jp/application-services/products/china-network/>
注意点
China Networkを利用するには、Enterprise契約を結んだ上で、China Networkの個別申請が必要です。さらに、ICP登録(中国での配信ライセンス)も欠かせません。申請から利用開始まで時間がかかることもあるため、導入には計画的な準備が求められます。
Alibaba Cloud CDNとは?
中国に強く、グローバルにも対応するCDN
Alibaba Cloud CDNは、中国本土での配信に特化しつつも、グローバルなCDN展開にも力を入れているのが特長です。
もともとAlibabaグループのECインフラを支えるネットワークから発展しており、中国国内では特に優れた配信性能とカバレッジを発揮します。
Alibaba Cloud CDNの主な特徴
- ノード数:約2,300カ所(中国国内における最大級の展開規模)※2023年時点
- ICP登録:必要(中国国内配信のため)
- 連携サービス:ECS(仮想マシン)、OSS(オブジェクトストレージ)、WAF、Anti-DDoS等との統合が可能
セキュリティ機能について補足
Alibaba Cloud CDN自体にはWAFなどのセキュリティ機能は含まれていませんが、Alibaba Cloudが提供する以下のサービスと組み合わせることで対応可能です:
- Alibaba Cloud WAF(Web Application Firewall)
- Anti-DDoS(DDoS攻撃対策サービス)
これらをセットで使うことで、中国国内でも堅牢なセキュリティを保ちながら配信が可能になります。
CloudflareとAlibaba Cloud CDNの比較表
比較項目 | Cloudflare(China Network) | Alibaba Cloud CDN |
中国ノード数 | 約30カ所(JD Cloud経由) | 約2,300カ所(最大級) |
ICP登録 | 必須 | 必須 |
契約ハードル | 高(Enterprise契約+申請) | 中(アカウント作成+登録) |
セキュリティ機能 | ◎ WAF・Bot管理・DDoS・Workers対応 | ◯ WAF・DDoSはAlibaba Cloud製品と統合可能 |
グローバル連携 | ◎ Cloudflareグローバルネットと一体化 | ◯ 中国国内中心だが、世界展開も強化中 |
価格帯 | 中~高(Enterprise前提) | 低~中(利用量に応じた従量制) |
どんなケースにどちらが向いている?
Cloudflareが向いている場合
- グローバルで一貫したCDN構成・セキュリティポリシーを維持したい
- すでにCloudflare Enterpriseを契約済み
- セキュリティ機能やWorkersなどの開発基盤も活用したい
Alibaba Cloud CDNが向いている場合
- 主に中国向け用途としてCDNを契約したい
- コストを抑えつつ、中国国内での最適な配信をしたい
- グローバルは別のCDNを使っているが、中国はAlibabaに切り替えたい
ICP登録できない・法人設立が難しい場合の代替手段
「中国向けにWebを配信したいけれど、ICP登録や現地法人の準備はハードルが高い」
そんな場合には、CDN以外のネットワーク最適化手段も有効です。
- Express China:中国から日本のサーバへのWebアクセスを高速化
クララ株式会社が提供するExpress Chinaは、中国から日本にあるWebサイトへのアクセスを高速・安定化させるソリューションです。
🌏 ICP登録不要、サーバ移設不要、すぐに導入可能。
中国の帯域不足・経路問題によって遅延・タイムアウトしてしまう日本のWebサイトでも、Express Chinaを利用すれば表示の安定性が大幅に向上します。
技術的には、中国との間にある通信ボトルネックをバイパスする独自の中継構成を用いて、高速な閲覧体験を実現しています。
▼こんな方におすすめ
- 大規模・高額なSEO対策よりも、まずは見られること・速く表示されることを目指す
- 指名検索が中心で、新規流入より既存の取引先のアクセス確保が重要
- 本格的な現地展開はまだ先。最小限の手間でスモールスタートしたい
これらはいずれもICP登録が不要で、既存環境に追加する形で導入できます。
まとめ:自社の構成と要件にあわせた選択を
Akamaiの中国撤退により、今後のCDN選定は避けられない課題となっています。
どのサービスが適しているかは、企業ごとの以下の要素により変わってきます。
- 配信対象:中国向け or グローバル
- セキュリティ要件:WAF、DDoS、防御機能など
- 技術体制:中国法人やドメイン管理の有無
- スケジュール:即導入か、段階的移行か
条件・目的 | 最適な選択肢 |
中国は中国CDNメインで配信したい | Alibaba Cloud CDN |
世界中で一貫したCDNが必要 | Cloudflare+China Network |
ICP登録や法人準備が難しい | Express China |
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免責事項
本記事は2025年6月時点の情報をもとに作成しています。
中国のインターネット規制や制度は変更される可能性があるため、実際の導入にあたっては最新の公式情報や専門家のアドバイスをご確認ください。