【徹底解説】Nutanix MoveでVMwareからの移行は簡単?トラブル対応の結果まとめ

こんにちは!クラウドソリューション事業部の大坪です!
今回はクララのインフラエンジニアに、Nutanix Moveを使ったVMware環境からの移行について、実際にやってみた経験を聞いてみました。

背景:VMwareのライセンスコスト増加で代替インフラが注目される

BroadcomによるVMwareの買収で、ライセンス形態の変更やOEMライセンスの廃止など、大きな方針転換が発表されましたね。これにより、多くの企業がライセンスコストの増加やサポート体制の変化を受け、自社の仮想基盤を見直す動きが加速しています。

そんな中で注目されているのが、Nutanixの仮想化基盤と、その移行ツール「Nutanix Move」!
VMware環境からの移行がどれほど簡単なのか、実際の事例をもとに解説していきます。

Nutanix Moveを使った移行の実態を徹底解説!

どんな環境を移行したの?

これまでにクララで実施したNutanix Moveを使った移行の対象環境には、以下のようなケースがありました。

  • 物理サーバーからP2V(Physical to Virtual)したもの
  • P2VしたものをさらにV2V(Virtual to Virtual)したもの
  • お客様環境からP2Vしたもの
  • AzureからV2Vしたもの
  • ESXi 4.1やESXi 6.5で作成されたVM

特にVMのバージョンが異なると、ドライバやVMware Toolsのバージョンも変わってくるので、移行時にトラブルが発生することも…。ですが、適切な対応をすれば、かなり古い仮想マシンでも移行可能でした!

Nutanix Moveでスムーズに移行するための2つの条件

Nutanix Moveでスムーズに移行するために満たすべき条件は、たった2つ!

1. VMware Toolsがインストールされていること

  • これがないとMoveで認識できません。
  • ただし、古すぎるバージョンだとMoveが認識できない場合もあり。

2. 管理ネットワークが通信できること

  • VMwareの管理ネットワークとNutanixの管理ネットワークが通信できることが必要。
  • 異なる場合はルーターを挟むなどの対応が必要。

この2つがクリアできれば、移行はかなりスムーズに進みます!

VMware Tools に関する課題と解決策

課題① ESXi 4.1 で作成された VM の Move 移行ができない

事象

  • VMware Tools はインストールされていたが、Nutanix Move が認識せず移行できなかった。

原因

  • VMware Tools のバージョンが古すぎて、Move が認識できなかった。

対応策

  • 新しい VMware Tools を入れ直すことで解決。
    ただし、すべてのケースで解決できるわけではなかった。

課題② VMware Tools を削除して、新しいものをインストールできない

事象

  • VMware Tools を削除し、新しいバージョンを ESXi から追加しようとしたが、インストールできなかった。

原因

  • 対象の VM のバージョンが古すぎて、現行の ESXi では対応していない VMware Tools しか存在しなかった。
    (新しい ESXi では、古いバージョン向けの VMware Tools を提供していない)

対応策

  • Open VMware Tools を OS 上からインストールすることで解決
    • これは、現在推奨されている VMware Tools のインストール方法でもある。

課題③ Open VMware Tools をインストールできない

事象

  • Yum コマンドで Open VMware Tools をインストールしようとしたが、インストールできなかった。

原因

  • OS のバージョンが古すぎて、参照しているリポジトリが古く、必要なパッケージが取得できなかった。
  • Open VMware Tools のベースリポジトリには存在しないため、EPEL(追加リポジトリ)の有効化が必要だった。

対応策

  • リポジトリを変更・修正し、EPEL を有効化することで解決。
    • しかし、それでもインストールできない VM も存在した。

課題④ Open VMware Tools を手動でインストールする必要があった

事象

  • すべての対応を試みても、Open VMware Tools をインストールできない VM が存在した。

原因

  • 明確な原因は特定できず。手作業で回避できるため、詳細な調査を行わなかった。

対応策

  • RPM を使用し、依存関係を含めて 1 つずつ手作業でパッケージをインストールすることで解決。

課題⑤ Open VMware Tools をインストールできても、正常に動作しない

事象

  • Open VMware Tools のインストールには成功したが、Move での移行が正常に行えなかった。

原因

  • Open VMware Tools と競合するパッケージが存在していた。
  • 物理サーバー時代に使用されていた Dell の管理ツール(Server Administrator) が競合していたため、正常に動作しなかった。

対応策

  • 競合しているパッケージを削除し、再インストールすることで解決。

 

Nutanix Moveの移行成功率と作業負担

クララで実施したNutanix Moveの移行の成功率は以下のような結果に!

  • 50%以上の環境は、VMware Toolsがそのまま使えたため、ほぼトラブルなしで移行が完了
  • 約25%の環境では、VMware Toolsの入れ直しなど一部の調整が必要でした。
  • 残りの25%は、詳細な調査や手作業による対応が必要でしたが、それでも移行は可能でした。

クララのインフラエンジニアは「作業自体はそれほど難しくはなかった」と話しています。ただし、これはNutanixの運用経験が豊富なエンジニアが対応したからこそという側面もあるかもしれません。
ログの解析やパッケージの競合回避など、専門的な知見が求められる場面も多くありました

こうした問題を一つずつ解決していくプロセスを、すべての企業が同様に実行できるとは限らないのが現実です。

ただし、移行前に以下のような準備をしっかり行えば、作業負担は大きく軽減可能です:

  • VMware Toolsのバージョン確認と互換性のチェック

  • 管理ネットワークの疎通確認

  • 古いVM環境への対応策の事前検討

これらのポイントを押さえておけば、カットオーバー(最終移行)はワンクリックで完了するケースも多く、手作業による移行と比べてミスのリスクも大幅に低減できます。

Nutanix Moveは、事前準備さえ整っていれば、スムーズな移行を実現できる優秀なツールだと実感しました!

 

 

まとめ:Nutanix Moveを活用して移行をスムーズに!

Nutanix Moveを使ったVMwareからの移行、やってみた結果… 事前準備さえしっかりすれば、めちゃくちゃ簡単!

✔ 事前にVMware Toolsのバージョンを確認 

✔ 管理ネットワークの通信をチェック

 ✔ 移行対象VMのバージョンによっては手作業も考慮

クララでも引き続き、Nutanixノウハウを蓄積していきます!また次回のレポートもお楽しみに!

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