Amazon Route 53で中国向けサイトの通信遅延を解消!最適なルーティング方法を解説

ニーハオ!你好! 

クララで中国領域のIT支援を担当しているクロスボーダービジネスチームです。

中国向けにWebサイトを提供している方なら、「ページの表示が遅い」「アクセスが不安定」「Google関連のコンテンツが表示されない」などの課題を感じたことがあるかもしれません。
中国ではインターネットに関する規制や技術的な制約が多く、日本のサーバーから直接Webサイトを配信すると、通信遅延やコンテンツのブロックが発生しやすくなります。

そこで、今回の記事では Amazon Route 53の位置情報ルーティングを活用して、中国からのアクセスを高速化する方法 について詳しく解説します。
中国向けWebサイトの最適なルーティングを実現するためのポイントを押さえていきましょう!

 

中国向けWebサイトの課題と通信遅延の原因

ICP登録の必要性と中国サーバーの利用制限

まず、中国でWebサイトを運営するには、 ICP登録(Internet Content Provider登録) が必要です。これは、中国の管轄機関に対して「このサイトを運営します」と届け出る仕組みで、中国国内のサーバーを利用する場合は必須となります。

しかし、ICP登録には 中国法人が必要 であり、日本企業が単独で申請することは基本的にできません。仮に登録できたとしても、サイトの性質によっては 追加のライセンス取得が必要 になることもあります。

そのため、多くの企業は 日本のサーバーからコンテンツを配信する という方法を取らざるを得ません。ただし、日本から中国への通信には遅延が発生するため、適切なルーティング対策が求められます。

ICP登録の詳細はこち

 

中国からのアクセスにおける通信遅延

「中国から日本のWebサイトにアクセスすると遅い…」というのは、多くの企業が直面する問題です。その主な理由は、以下の2つです。

  • 帯域不足
    日中間の国際回線は限られており、特にピーク時には大幅に遅延が発生することがある。 
  • 経路の遠回り
    中国のインターネットは、国内のトラフィックを優先する設計になっており、海外のサーバーへのアクセスは複雑なルートを経由することが多い。

さらに、中国には グレートファイアウォール(GFW) と呼ばれるインターネット検閲システムがあり、

  • Google、Facebook、YouTubeなどのアクセスが制限される
  • Google MapsやYouTubeを埋め込んだサイトの表示が遅くなる
  • Google Workspace(GmailやGoogle Drive)が使えない

といった影響が出ることもあります。

 

中国向けWebサイトの通信遅延を回避する方法

では、通信遅延を解決する方法はあるのでしょうか?

考えられる選択肢として、以下の3つがあります。

  1. 中国国内にサーバーを設置する(ICP登録が必要)
  2. 香港にサーバーを設置する(ICP登録不要だが遅延は残る)
  3. ネットワークサービスを活用し、日本サーバーの通信を最適化する(ICP登録不要)

本記事では、 Amazon Route 53の位置情報ルーティングを活用して、中国向けのアクセスを最適化する方法 を紹介します。

 

Amazon Route 53とは?

まず、Amazon Route 53 は、AWSが提供する高機能なDNSサービスです。一般的なDNSの役割に加え、 トラフィックの分散最適なルーティング を実現する機能を備えています。

AWSを利用してWebサイトを構築している企業も多いですが、 中国からのアクセスには通信遅延が発生する 可能性があります。例えば、通常の構成では中国ユーザーが直接日本のサーバーに名前解決を行うため、以下のような問題が生じます。

 

この遅延を回避するには、中国国内のサーバーに名前解決をさせるのが理想ですが、 ICP登録が必要なため、多くの企業にとってハードルが高い のが現実です。

そこで、 Express China CN2や Express China – Alibaba Cloud Global Accelerator を活用することで、日本サーバーへのアクセスを高速化できます。そのための名前解決の仕組みとして Amazon Route 53 位置情報ルーティング を活用します。

 

Amazon Route 53 位置情報ルーティングを利用した中国向けサイトのアクセス高速化

位置情報ルーティングとは?

位置情報ルーティングは、 ユーザーの地理的位置に基づいて異なる名前解決先を指定できる 機能です。例えば、日本のユーザーにはAサーバー、中国のユーザーにはBサーバーを指定することができます。

  • 日本のユーザー → 日本のサーバーへ
  • 中国のユーザー → 高速経路のサーバーへ(Express China CN2 / Express China – Alibaba Cloud Global Accelerator)

という形で、地理的な特性に応じた最適なルーティングが可能になります。

 

Route 53の公式ドキュメントはこちら

位置情報ルーティングの機能について理解した上で、中国ユーザーのアクセスを高速化させる構成について検討しましょう!

ご紹介したExpress ChinaやAlibaba Cloud Global Acceleratorを利用すると、以下の通りです。

ICP登録不要(中国法人不要)で、中国からのアクセス高速化が可能です。

 

Route53位置情報ルーティングを利用したアクセス高速化の構成図

【注】Express Chinaはクララが提供する中国向けWebサイト高速化プランです。

👉 Express Chinaの詳細
👉 Alibaba Cloud Global Acceleratorの詳細

 

Route 53の設定方法

実際に位置情報ルーティングを設定するには、以下の手順を実施します。

  1. AWS Route 53の管理画面にアクセス
  2. ドメインのDNS設定を開く
  3. 新規レコードを作成し、「位置情報ルーティング」を選択
  4. 中国からのアクセス専用のIPアドレスを設定(Express ChinaやAlibaba Cloud GAのIP)
  5. 設定を保存し、DNSの反映を待つ

この設定を適用することで、中国のユーザーは 最適な経路でWebサイトにアクセスできる ようになります。

 

 

まとめ

中国向けのWebサイト運用において、 通信遅延の解消は大きな課題 です。

Amazon Route 53の 位置情報ルーティング を活用すれば、

  • ICP登録不要で高速なコンテンツ配信が可能
  • Express China / Alibaba Cloud GAと組み合わせてより安定した通信を実現
  • 既存のAWS環境とスムーズに統合できる

といったメリットを得ることができます。

詳しくは以下をご覧ください!

👉 Express Chinaの詳細
👉 Alibaba Cloud Global Acceleratorの詳細

 

 クララの中国向けソリューション

クララは北京に子会社を持ち、中国現地でのクラウドサービス、ビジネスコンサルティングやリーガルアドバイザリーサービスを提供している 「中国に強い会社」 です。

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