全国規模のスポーツ支援基盤を支えるAWS構築
株式会社スポーツITソリューション
川口 氏


株式会社スポーツITソリューション
- 複数システムで認証が分かれており、ユーザーの利便性が低くデータ統合も困難だった
- 冗長構成やAWSとの接続に関するインフラ・ネットワーク設計に不安があった
- セキュリティにおける設定の適正性やリスク検知体制を強化したいと考えていた
- 共通認証基盤をAWSに構築し、ユーザーの利便性向上とデータ統合・分析が可能に
- Direct Connect+VPNなどの構成を専門知見で設計し、安定・高可用なインフラを実現
- AWS Secureによりセキュアな構成確認とアラートを自動化し、安全で効率的な運用が可能に
01
全国のスポーツ活動を支える「裏方IT」基盤を強化
スポーツを「プレーする人」だけでなく、「支える人」も重要――。
そんな理念のもと、日本全国のスポーツ環境の整備・指導者育成・地域支援などを推進している公益性の高いスポーツ支援団体があります。特に地域密着型の活動を多く担い、子どもから高齢者まで幅広い層に向けた取り組みを行っているのが特徴です。
この全国規模の活動を支えるために、IT基盤の刷新と拡張を担っているのが株式会社スポーツITソリューション(SIS)。SISは同団体の資格制度やイベント管理、研修プログラムなどが稼働する、複数あるアプリケーションシステムの開発・運用を一手に引き受けています。
今回、SISが取り組んだのは、
- 認証基盤の統一
- 新サービス(グループ管理アプリ)の開発・環境整備
- クラウドネイティブな構成への刷新
といった、大規模な基盤強化。このプロジェクトを、インフラ・ネットワーク・セキュリティの面から支援したのが、クララ株式会社です。

02
スポーツ支援団体の活動を「ITで支える」ために
――株式会社スポーツITソリューション 川口さんに聞く
今回、お話を伺ったのは、SISでプロジェクトを担当された川口さん。
「我々のお客様であるスポーツ支援団体(以下、同団体)では、これまでもさまざまな領域のITサービスを展開してきましたが、それぞれが個別システムとして動いていたことで、ユーザー管理や連携の手間が課題でした。
今回は、認証基盤をAWSで統一するという大きな決断をしつつ、新しいチーム管理サービスの構築も並行して進めることになりました。」
もともとSISの他案件のご支援をしていた実績もあり、今回のAWS基盤構築についても「迷わずクララに依頼した」と川口さんは語ります。
「アプリ開発の専門家としては、インフラやネットワーク、セキュリティ周りまで全てを自社で全て回すのはやはり難しい。
AWSの知見は社内にも十分にありますが、それはあくまで“開発の専門家視点のAWS”であって、Direct Connectの接続やネットワークの冗長構成の設計まで手が回るかというと心もとない。
そういうとき、オンプレもAWSも両方に強いクララさんの存在は非常に心強かったです。」
03
認証基盤の統一と新サービス基盤にAWSを採用
SISが今回のプロジェクトで直面していたのは、複数のシステム間で分断されていた認証基盤の統一という課題でした。
背景には、主に2つの目的があります。
ひとつは、ユーザーの利便性向上。同団体では、研修管理、資格制度、イベント運営など複数のプラットフォームが稼働しており、それぞれに認証機能がバラバラに存在していたため、利用者がシステムごとにアカウントを使い分けなければならない煩雑さがありました。
もうひとつは、データ統合・利活用の推進。同一人物が複数サービスで別々に登録されていたことで、正確な活動データの把握や分析が難しく、施策の立案にも支障があったのです。
これらの要件を踏まえ、SISはスケーラブルで柔軟なアーキテクチャが構築できる環境としてAWSを選定。
川口さんは語ります。
「AWS上に共通認証基盤を構築することで、ユーザーのログイン情報を一元管理できるようになり、利便性が大きく向上しました。
また、“このサービスのこの人と、別サービスのこの人が同一人物だ”と明確に紐づけられることで、ビッグデータの観点でも、正確な利用状況の把握や行動分析が可能に。今後のデータ活用にもつながる重要なステップでした。」
また、同時進行で開発が進んでいるのが、新規サービス「グループ管理アプリ」。
同団体が支援する、全国に存在するスポーツグループのメンバーや活動を柔軟に管理し、各グループが自由に運用できるサービスで、今後は各種プラットフォームと連携する中核システムにもなりうる見込みです。このサービスも、コンテナベースでマイクロサービス化できることやスケールの柔軟性を鑑みて、基盤としてAWSを選定しています。
こうした構成には、以下のAWSサービスを中心に活用しています:
- Fargate:コンテナ運用の簡易化
- Elastic Load Balancing(ELB):可用性の向上
- EC2 / RDS:従来型のWeb/DBサーバ構成も併用
- Transit Gateway / VPN / Direct Connect:プライベートクラウドとの接続
「 構築は多少不安もありましたが、クララさんが事前に構成案を丁寧に検討・提示してくれて。
結果としては、可用性・開発効率ともに満足できる構成になったと思っています。」

※本記事内に掲載されているAWS構成図は、あくまでイメージおよびサンプルとしての参考図です。実際のシステム構成や運用環境とは異なる場合があります。また、セキュリティ上の理由から、実際のインフラ構成や運用方法についての詳細は公開しておりません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
04
AWS×プライベートクラウドの連携を支える構成
――Direct Connect+VPNによる冗長化で“止まらない認証基盤”を実現
同団体が提供する各種プラットフォームでは、共通認証の可用性が非常に重要です。もし認証機能が一時的にでも停止すれば、複数のサービスが同時に利用不能になるため、可用性の確保は大事な要件でした。
SISとクララは、この課題を解決するために、AWSと既存プライベートクラウド(Nutanix基盤)を強固に接続する構成を選択。AWS Direct Connectを用い、さらにVPNによる冗長構成を組み合わせることで、万が一の障害時でも切れ目なくサービス提供が継続できるよう設計しています。
川口さんいわく、
「今回の構成って、アプリケーションレイヤーのAWSだけではなくて、ネットワークやオンプレとの連携に関する深い知見がないと構築が難しい内容だったと思います。
自社でも頑張って検討したんですが、やっぱりDXやTransit Gateway、VPNあたりの構成を自信をもって設計・実装するには不安がありました。」
「クララさんは、AWSもオンプレもネットワークも全部わかっているので、『あ、これはこの組み合わせでいけますね』とすぐ提案してくれて。冗長化も含めて、“こう作れば安心できます”という構成を提示してくれたので、非常に助かりました。」
インフラ全体を俯瞰して設計・構築できるパートナーとして、クララの強みが発揮された案件でした。
05
安心の運用・セキュリティ強化を実現する
「AWS Secure」
――人手に頼らない“見える化と自動化”の環境を
同団体のような公益性の高い組織では、セキュリティへの信頼性も極めて重要です。
AWS上に構築された基盤も例外ではなく、「ちゃんと守られているのか」「何かあったらすぐに気づけるのか」といった観点から、可視化・自動化されたセキュリティ対策が求められていました。
そこで活用されているのが、クララの提供するセキュリティサービス「AWS Secure」。
Security Hubを中心に、GuardDuty、Inspector、CloudTrailなどを連携・活用しながら、“構成が適切かどうか”の診断、設定漏れの検知、アラートの通知といった機能を提供しています。
川口さんもこの仕組みに非常に助けられていると語ります。
「もちろん、我々も開発者として最低限のセキュリティには気を付けます。でも、“なんとなく大丈夫だろう”で済まされる世界ではないですし、人力のダブルチェックで安心するには限界がある。
AWS Secureは、“この設定は見直した方がいいですよ”とアラートが出たり、知らなかったリスクに気づかせてくれるので、本当に心強いですね。」
「実際、クララさんから『ここはこう対策した方がいい』というアドバイスも随時もらえるので、運用しながら学びにもなるんです。
結果的に、アプリ側の開発・運用にもっと集中できる環境を作れました。」


AWSのベストプラクティスをベースにクララが最適化したセキュリティ監視設計・運用を行うセキュリティマネージドサービス
06
クララをパートナーに選んだ理由
――“餅は餅屋に”任せる安心感と信頼感
プロジェクトを通じて、SISとクララの協業は多くのシナジーを生みました。AWSというモダンな環境の中で、セキュリティやネットワークなどのインフラ基盤を安定させるには、それぞれの専門性が求められます。
川口さんは、クララをパートナーに選んだ理由をこう話します。
「自社のエンジニアはアプリ開発に集中し、インフラやセキュリティの専門領域は、“プロの手に任せる”という意思決定ができたことが大きかったですね。
クララさんは、AWSとオンプレの両方をわかっていて、セキュリティにも強く、MSPとして運用面でも信頼できる。安心してお願いできる存在です。」
07
IT×スポーツの未来を、安心の基盤で支えるために
今後も、同団体が展開するスポーツ支援活動は、よりデジタル化が進むことが予想されます。全国の地域や指導者・子どもから大人まで、スポーツに従事するすべての人々をITでつなぎ、より良いスポーツ環境を創造していきます。
そして、公益性の高い活動であっても、いやむしろそうであるからこそ、安定したIT基盤と堅牢なセキュリティが求められます。
SISが担う“スポーツITの現場”において大切な基盤を、クララはインフラとセキュリティの観点から支えていきます。
「“アプリ側のことに集中できる環境”って、実はすごく貴重なんですよね。
隣にインフラのプロがいてくれることで、未来を見ながら開発ができる。これからも、クララさんと一緒に現場に寄り添った開発を続けていきたいと思います。」
と川口さんは語ります。

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