クララが解決するマルチクラウド管理に伴うコストと運用負荷の課題

2020年11月24日にマイナビニュース「企業IT チャンネル」(https://news.mynavi.jp/kikaku/20201124-1510058/)に掲載された記事を転載しています。

長年にわたりインターネットサービスプラットフォームの提供を続け、昨今は多彩なクラウドサービスやビジネスソリューションを展開するクララ。同社がこのほど、企業・組織のITインフラ関連コスト削減と情シス部門の運用負担軽減を実現する新たなソリューションをリリースした。今回は、ITインフラまわりのサービス企画を手掛けるビジネスストラテジー部の本田 哲朗氏、サービス検証に携わったソリューションビジネス部の内田 浩史氏の2人に、ITインフラをめぐる課題と新ソリューションについて話を聞いた。

オンプレとパブリッククラウドの両サービスをアップデート

企業・組織のITインフラにおいて、マルチクラウド/ハイブリッドクラウドの活用がベストプラクティスであると見なされている。しかしながら、クラウドサービスの選択肢も増える中、ITインフラのサイロ化は大きな課題だ。サイロ化によってマルチクラウド環境をうまく管理できず、コストや利用状況の把握が難しくなり、結果的にクラウド利用料は右肩上がり。ハイブリッドクラウド環境でも運用・管理コストが高くなり、管理工数もかさむ一方で、情シス・IT部門はクラウド化のメリットを享受しきれない状況に陥りつつある。

「マルチクラウド/ハイブリッドクラウドを最適に管理することで、コスト削減と運用負荷軽減は可能だと考えます。当社はオンプレミス環境でHCI(ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャ)の高性能とスケールアウトの柔軟性を享受できるNutanixのサブスクリプションサービス『Clara Cloud』を展開し、一方ではMSP(マネージド・サービス・プロバイダ)事業者としてAWS、Microsoft Azureなどのパプリッククラウドサービスも提供しています。この両サービスをアップデートし、クラウドの恩恵を最大限に受けられるようにするため、今回2つの新たなソリューションをリリースしました」(本田 氏)

クララ株式会社 ビジネスストラテジー部 本田 哲朗氏

マルチクラウドを可視化しコストを最適化するツール

まずは、マルチクラウドを一元管理し、利用状況を最適化することでコスト低減につなげるクラウド最適化ソリューション「Cloud OPT」。これは同社が取り扱うパブリッククラウドサービスを、クラウド管理ツール「CloudHealth by VMware」と構築・クラウドマイグレーション・監視・運用代行といったマネージドサービスとのセットで提供するソリューションである。

「CloudHealth by VMware」には主に3つの機能がある。1つは、マルチクラウドで利用される複数アカウントを一つのダッシュボードで可視化する機能だ。各クラウドサービスのアカウントにいちいちログインすることなく、ログやアラート、コストの利用状況・予測などを把握して統合管理することが可能となる。情シス部門の管理・運用工数の大幅削減という点でも効果を期待できる。2つめは、クラウド利用コスト削減のサポート。使用状況に応じてリザーブドインスタンスの活用や不要となったゾンビリソースの削除など、コスト削減に効果を発揮する最適化の提案をしてくれる。「CloudHealth by VMware」自体はすでに7000社以上で導入されており、月平均25%のコスト削減を成し遂げた実績を有している。 そして3つめが、ガバナンスの強化である。パブリッククラウドの活用においては組織ごとに利用方法に関するポリシーを設定し運用するのが一般的だが、各組織がそれぞれ運用している状況では、それぞれのアカウントのポリシー違反やセキュリティ上のリスクを見つけるのは困難だ。本機能ではポリシー設定に応じて違反行為やリスクを通知してくれるほか、月次レポートもワンクリックで作成できる。

面倒な作業なしに無償で使い始められるメリット

「『Cloud OPT』は、マルチクラウドをポータルで管理し、コスト低減も実現できるのが最大のアピールポイント。いま多くの企業・組織が直面するITインフラのコスト削減に力を発揮します。ただ、こうした機能を導入するため、従来のクラウド利用料に追加料金を払うのでは、社内の稟議を通すことになり、導入のハードルがあがってしまいます。その点『Cloud OPT』では『CloudHealth by VMware』を追加コストなしで利用できるようにしているので、情シス部門も費用や稟議のことを考えずに導入できます」と、内田 氏は「Cloud OPT」のメリットを強調した。

「Cloud OPT」は同社が提供するパブリッククラウドサービスを契約すれば標準で付いてくる。運用開始前にクララ側で各種設定を行ったうえで「CloudHealth by VMware」のダッシュボード画面が提供されるので、導入側としてはとくに何も意識せずに最適化ツールを使い始められるイメージだ。

図1  Clara Cloudと従来のITインフラ(レガシーサーバ、NutanixのHCI、IaaS)の構成要素の比較

クララ株式会社 ソリューションビジネス部 マネージャー 内田 浩史氏

また、今回リリースされたもう一方のソリューションがクラウド接続サービス「Clara Cloud Connect」である。こちらはオンプレミス環境の「Clara Cloud」に付属するもので、「Clara Cloud」とパブリッククラウドサービス、あるいはクラウドサービス同士を接続し、マルチクラウド/ハイブリッドクラウド環境を簡単に構築できるようにするサービスだ。加えて同社の強みである日本と中国のネットワーク接続を高速化する「China Connect」との相互接続にも対応することで、お客様の中国拠点からパブリッククラウドへのネットワーク高速化も実現した。

従来の「Clara Cloud」にもクラウド接続サービスは用意されていたが、「Clara Cloud Connect」の登場で、より短納期で広帯域の回線をサブスクリプションモデルで提供することが可能となっている。「より短納期でリリースできるようになったことで、お客様の急な構成変更のご要望にもスピーディーに対応できます」と内田 氏は強調する。

ワンストップの強みを活かしてサービス提供を深化

「Cloud OPT」と「Clara Cloud Connect」。この2つの新ソリューションの背景には、クララのどのような思いがあるのだろうか。

本田 氏は「マルチクラウド/ハイブリッドクラウドが一般化してきた状況で、オンプレミス型製品とパブリッククラウドサービスを併せて取り扱う事業者として、その双方により高い付加価値をつけ、お客様のITインフラまわりに貢献するのが当社の役割です」と語り、内田 氏は「この2つによって、当社が提供するITインフラをさらに魅力的なものとしてアピールできると考えています」と付け加えた。

同社はもともとクラウドも含めた多彩なインフラサービスをワンストップで提供してきた。そこに新顔のソリューションが加わった形だが、そもそもこの“ワンストップ”という点が同社の目指すところであると本田 氏は話す。

「私たちには、企業内のさまざまなITリソースの管理は情シスが担うべきものではないという思想があります。当社にアウトソーシングしていただければ、クラウドはもちろんデータセンターやネットワークのリソース、そして今回の『Cloud OPT』『Clara Cloud Connect』のような周辺機能もすべてワンストップで提供できるので、コスト削減と運用負荷軽減を同時に実現できる一方、企業の担当者はより自社の事業に関連した専門的な業務に時間とコストを割くことが可能になるでしょう」

そのうえで同社は今後、コアサービスである「Clara Cloud」のサービスを拡充し、Nutanixの性能を最大限発揮できる製品・サービスをさらに揃えていくという。一方では、北海道にあるデータセンターを活用し、DR(災害対策)やBCP(事業継続計画)といったニーズに合致するソリューション提供していく方針だ。

なお、12月3日(木)に開催されるクララ主催のオンラインセミナー「The Border」では、本田氏とニュータニックス・ジャパンのテクニカルエバンジェリスト、島崎 聡史氏とのコラボレーションセッションが行われる。本田氏はそこでも、マルチクラウド/ハイブリッドクラウド利用における課題とソリューションについて解説する。

図1  Clara Cloudと従来のITインフラ(レガシーサーバ、NutanixのHCI、IaaS)の構成要素の比較