第十一回中国IDC産業年度大典 レポート
みなさま、明けましておめでとうございます!
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今回は、昨年12月20日から22日にかけて北京国家会議中心で開かれたIDC産業年度大会のイベントレポートです。今大会では中国のIDCを運営する企業と関連会社が数多く集まりました。複数の会場で様々なセミナーが開催されましたが、特にクラウドに関しての話が興味深かったので、こちらを中心にレポートをまとめます!
この記事の目次
1.京東(JD)クラウド:信頼できる品質とJDプラットフォームの利便性
発表は京東クラウド基礎事業部総経理の王直氏で、はじめに京東のECサイト運営での実績と、中国の11月11日セールに向けてどんな準備と体制でのぞんだかを紹介していました。京東(JD)クラウドサービスを利用する中での最大の魅力は、JDプラットフォームの利用と相互連携ができる点だと強調していました。
2.楽視クラウド:多角化した事業形態向けのサービス
楽視は、中国のスマートフォンやテレビなどの製造から動画配信サービスまで、幅広くサービス提供する楽視エコロジーという概念で事業展開をしている会社です。私自身とても興味を持って楽視クラウド 副CEOの孫彬氏の発表を聞きました。孫氏からは、クラウド運営の経験と実績について、特に動画配信サービスの提供について成功事例をまじえて発表。動画配信サービスを提供したい会社への宣伝色が強いようにも感じました。
得意分野へのクラウドサービス展開、業界でターゲットを分ける
京東(JD)と楽視の共通点として、クラウドとは別分野でのサービス運営をする中でIDCの建設が必要になり、現在のクラウドサービスを提供していることがあげられます。そして、注目すべき点は両社ともに業界・分野でターゲットを絞っていることです。それぞれ、クラウドと自社運営のECサイトや動画配信サービスなどとの連携をセールスポイントとして強調していたことが印象的でした。
3.生放送の市場がクラウドに新しい生命力を与える?
会期中、何度もトピックとしてあげられたのは、ここ1~2年中国で強い人気を持つ生放送です。今はコンサートや美女直播間(美女生放送)だけではなく、手術の生放送すらあり話題をよんでいます。特に、蝸牛VR生放送の発表は興味深いものでした。VR技術と生放送を連携したVR生放送が将来的に市場を占有する可能性を示唆し、それにともなって人々の生活にどんな変化が生じるかを説明したのです。これからの5~10年の間にこの予測が現実になると断言し、参加者に強い衝撃を与えました。
4.クラウドに保険をかける
今回の「IDC産業年度大会」に参加することで初めて知った面白い概念は「クラウド保険」でした。保険業者と連携しクラウドサービスそのものに保険をかけるもので、中国信息通信研究院技術 標準研究所の郭雪氏が説明しました。このクラウド保険を「可信雲保険」というそうです。
クラウドサービスが成長し盛んに利用されるようになった今も、安全性という問題は課題として挙げられます。「クラウド」には「絶対」といえる安全は実現不可能と言われており、今までに、サーバやネットワーク障害のリスクを最低限に抑えるため、様々な技術やソリューションを研究してきました。「絶対安全」というのはなかなか実現できませんが、金融機関や政府、特殊企業などにとって安全は絶対条件です。そこで、保険がクラウドサービスの最終的な保証の一環として入ります。この保険をかけるにはまず、IDCの環境や設備などインフラからインターネット環境、ソフトウェアまでさまざまな検証をしたうえで、保険のレベルをつけます。そして被害が生じた場合、そのレベルに基づき保険金が支払われます。
この「クラウド保険」は中国信息通信研究院が提案した中国初の概念です。ビジネスモデルとして、クラウド業界と保険会社が連携し、中国信息通信研究院が検証における規則とレポートを出すという形になっています。クラウド業者と保険業者の間に、WIN-WINの関係を築くことができており、保険業界としては新たなチャンスです。
5.第一回“攻城獅”IDC運営知識大会の開催
12月21日に決勝大会が開催された第一届“攻城狮”IDC运维知识大赛(第一回“攻城獅”IDC運営知識大会)にて、大連華信は堅実な技術をもって金獅奨(優勝)を獲得、広東奥飛は豊かな運営経験をもって銀獅奨(準優勝)を受賞しました。現在、中国の保守運用管理担当者は人材不足が深刻な状況です。この大会がサーバエンジニアリングを奨励する良い機会となり、今回の参加者のパフォーマンスが一つの指標になるだろう、とUptime Institute 中国シニアビジネスディレクター 陳玉波氏よりコメントがありました。
6.クラウド業界の上場企業クラブの設立
2016年、中国データセンター業界は急速な成長を遂げ、多くの企業がIDC経営に成功し、中国データセンター市場の発展に貢献しました。今大会の最終日にクラウド業界の上場企業クラブが正式に設立されました。クラブの初期メンバーはGDS、ChinaCache、世紀互聯、Capitalonline Data Serviceなど16の上場企業。このクラブを通じて、今後の各企業間の連携と活躍に期待ですね!