阿里雲(Aliyun)雲栖大会 2016 レポート

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日本で SBクラウド (Alibaba Cloud)  がついに提供開始されましたね!

そこで今回は、先日中国で行われた阿里雲のイベントレポートをお送りします。

 飛天・進化

2016年10月13日~16日の4日間に渡り、阿里巴巴集団(アリババグループ)傘下のクラウドサービス企業、阿里雲計算公司が主催する「雲栖大会」が浙江省杭州で開かれました!2009年の中国ローカルサイト開発フォーラムから始まり、2011年は阿里雲開発者大会、2015年に “雲栖大会”と名称を変え、今年2016年は西湖区の雲栖小鎮(Cloud Town)を会場として開催されました。イベント名に阿里雲の名前はつかず、クラウドやビッグデータなどの技術に重点が置かれているようです。

今回のイベントのテーマは「飛天・進化」であり、雲栖大会は世界的に見ても大規模なテクノロジーイベントでした。世界58国から4万人が参加、ネット中継では700万人のアクセスがあるなど、日本では考えられない規模!大会内容はクラウド、ビッグデータ、人工知能、ハードウェア、VR、AR、チップテクノロジー、データベース、オペレーティング・システム、生体認証、天文、金融など世界的に注目が集まるテーマが多く、中国の技術力の高さを強力にアピールしていました。

阿里雲の創業地である雲栖小鎮(Cloud Town)会場にて 10月13日朝の様子

基調講演と会場の様子

阿里巴巴の創業者 馬雲総裁による開会の挨拶からスタートです。馬総裁が起業した1995年、世界のインターネット関連の起業者は5万人足らずだったにも関わらず、今回の参加人数は5万人を上回りました。現在のインターネット人口は20億超と、新しい世界・新しい経済環境を生み出しています。第一次産業革命では、工業化により人力による作業が軽減されました。第二次産業革命では、コミュニケーションにおける人と人の距離が縮まりました。今回の革命は、人が考えるべきことを軽減するものです。

馬総裁から、新販売(オンラインとオフライン双方向での体制)、新製造(データでのデマンドオーダー)、新金融(インターネット金融)、新技術(想像もできないテクノロジー)、新エネルギー(データエネルギーの価値)という「五新」の提案がありました。その後、阿里巴巴集団の最高技術責任者(CTO)王堅氏が信号機の横に設置されたカメラで状況を判断し交通信号を指示するような交通管理システムでデータの社会価値を実現しているという杭州の例を発表しました。基調講演と各会場講演は4日間で450に及び、数千社という企業の注目がここに集まりました。各会場の講演には阿里雲エンジニアからの阿里雲の紹介や、パートナー企業による阿里雲と連携したソリューションの事例紹介も含まれます。

テーマ講演と各会場講演の様子

展示コーナーや体験コーナー

展示コーナーや体験コーナーではIntel、HTC、Docker、SK、PCCW、Singtel、HERE、Digital Chinaなど世界的に有名な企業の姿も多く見られました。IntelやGT Robot Technologyなどの企業からはロボットの展示も。GT Wonder Boyは世界で初めて単独での自律移動を可能にしました。家事、会話、教育、歌やダンスに加え、電子マネー、電子地図、テレビ会議、インターネット電話などの幅広い機能を持ち、かつ多言語で対応できるロボットです。話し相手になり、歌ったり踊って一緒に遊ぶことができるという、ロボットに夢見ていたことが実現されます。菜鸟网络のGちゃんは配達拠点から配達先までのラストワンマイルの配達用に開発され、現在、雲栖小鎮で実験中です。将来的には、大学、オフィスビルなどで採用されることを目指しています。

GT Robot TechnologyのWonder Boyと ‘菜鸟网络’ 配達ロボGちゃん

   

現在、中国の若者の主な支払手段になっているALIPAYは、中国国内で4億人ほどのユーザーを抱えています。コンビニ、レストラン、スーパーや百貨店などでの支払いで日常的に利用されています。相手を友達として追加するか二次元コードをスキャンすることで簡単にお金のやりとりができる、今ではなくてはならないツールの一つです。それだけではなく、顔認証で支払いができるという技術も開発されています。会場内で体験コーナーも設置され、たくさんのの注目を集めていました。これが将来中国で普通に利用できるようになるのが待ちきれません!

ALIPAYの関連会社ANT FINANCIALの顔認証支払い体験コーナー

今年のChinaJoyでも注目を集めたVR体験コーナーもありました。阿里雲VR開発プラットフォームを用いてサービス開発している五叶草や有理数といった企業から、山道でのサイクリング体験や、アーチェリー体験のコーナーなどもありました。どのコーナーも順番を待つ長蛇の列ができ、人気を博していました。また、VRヘッドディスプレイをかけて体験を楽しむ参加者の様子からVRの魅力の高さを感じました。

VRゲーム体験コーナー

阿里雲と SBクラウド

今年日本でも話題になっていたと思いますが、アリババグループとソフトバンクによる合資会社SB クラウド株式会社の姿も見かけました!SBクラウドは、今後日本国内にデータセンターを設置し、SBクラウドというサービス名でベンチャーからグローバル企業まで顧客ニーズに合わせた形で幅広く提供するとアピールしていました。そして先週ついにSBクラウドをサービス提供開始したとのニュースが。今後の展開が楽しみですね!

アリババグループとソフトバンクが連携した合資会社SBクラウドの展示コーナー

その他のクラウド関連のニュースとして、雲嘉クラウドで、阿里雲のクラウドサービスを基盤とした杭州の司法機関のネット裁判システムが稼働し始めました。知能音声認識で音声信号を文字に変換する技術を用い、被告、原告、裁判長用のそれぞれのパソコンにて各意見を取り込み、効率的に裁判所現場を再現することができます。杭州の司法機関を始め、将来は全国範囲の司法システムに適用していきたいと担当者は語っていました。

钉钉(りんりん、呼び出し音を表現)は阿里巴巴が開発した無料オフィスソフトウェアであり、企業の新しいワークスタイルとして定着しはじめているサービスです。企業連絡先、メッセージの既読未読、営業、財務や人事の管理、チーム通信、日報や情報共有など、PCやスマホ等の複数端末で利用できるという利便性の高さを誇ります。無料で電話やテレビ会議がいつでもどこでも簡単にできるため、多くの企業で連絡や進捗確認の手段として使われています。雲栖大会でも、钉钉APPでグループを作り、大会の最新情報を共有する姿が見られました。钉钉がこれから中国企業のワークスタイルの主流になるのではないでしょうか。

雲栖ミュージック祭と雲栖ナイトラン

10月13日には、雲栖小鎮で雲栖ミュージック祭が開催されました。有名ミュージシャン 朴树氏、バンド 逃跑计划、少女グループ Lunar など、多くのミュージシャンにより様々なパフォーマンスが繰り広げられ、現場は熱気に包まれました。また、イベント期間中の14日の夜には、雲栖ナイトランも開催。阿里雲の有名なエンジニアである孫権氏を始め、事前の申し込みで401人の参加者が集まり、会場である雲栖小鎮をコースに5km走りました。参加者にはSmart Bandが配布されました。BongというアプリでBluetooth連携することで、睡眠の質、心拍数、走る時の消耗カロリーなどを測ることができ、さらに電話着信・SMS・メッセージなど各種通知の設定もできるそうです。測定した消費カロリーから上位3名の表彰もあり、会場は大いに盛り上がりました。雲栖ナイトランの最後は、参加者の名前が刻印されたメダルを受け取り、記念撮影をするなどにぎわっていました。

雲栖ナイトランの様子

   

阿里雲のグローバル展開

阿里雲はこの3年間で驚異的な発展をとげ、あっという間にAWS、Microsoft Azrueに続く世界3位の規模まで成長しました。これは政府との連携、企業との協力、及びアリババグループによる支援が深く関わっていると考えられます。今回の大会でも、蘇州省省长と浙江省省长の政府側出席者は阿里雲に対しての支援を表明していました。SB クラウドが日本でのサービス提供を開始し、阿里雲の今後の動向から目が離せませんね!

さて、ついに年末。

2016年も大変お世話になりました!

2017年も中国からおもしろい情報を発信していきますので、みなさまお楽しみに!

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