
Pleskは冗長構成に向いている?できること・できないことを正直に解説
こんにちは、クララのマーケティングチームです!
最近、入札や提案の場面でこんなご質問をいただくことがあります:
「Pleskって冗長構成できるの?」
結論から言うと、Pleskは高可用性(HA)構成やマルチノード構成を前提とした製品ではありません。
ただし、「できない=不安定」というわけではなく、用途に合った使い方をすれば十分に安定運用が可能です。本記事では、Pleskで実現できること・できないこと、代替案、そして誤解しがちな構成例まで、率直に整理します。
この記事の目次
Pleskは”単一ノード設計”が基本です
Pleskは「1台のサーバにWeb・メール・ドメイン管理などを集約」する構成を前提とした単一ノード設計です。
以下のような構成は公式にも非推奨/サポート対象外とされています:
- ロードバランサ+複数台のPleskノード(セッション共有・データ同期は不可)
- 同一構成のPleskをマスター・スレーブで同期
- 一括管理コンソールで複数ノードを管理(Pleskには存在しない)
Pleskは1台で完結する管理ツールとして進化しており、”冗長化”のようなインフラ設計は前提としていません。
よくある「やってみたくなる構成」と現実のギャップ
構成例 | 実際に起こる問題 |
ロードバランサ+Plesk×2 | セッション共有不可/証明書・データ不整合/サポート外 |
外部DBサーバ+2台目Plesk | DBは共有できてもファイル/Plesk内部管理は分離されてしまう |
リバースプロキシ+Pleskバックエンド複数台 | 管理パネルの整合性が取れず、UI上での管理に支障が出る |
Pleskは内部的に独自の設定ファイル・オブジェクト管理(xmlベース)を行っており、これを複数ノード間でリアルタイム同期する仕組みは存在しません。
「じゃあ冗長性ゼロなの?」という疑問への回答
冗長構成(HA)はできませんが、障害・停止に備える手段はいくつか存在します:
- 定期バックアップ+スナップショット:Pleskのバックアップ機能 or 仮想基盤でのスナップショットで復元性を確保
- DNS側でのフェイルオーバー:障害時に切替用サーバへ向ける構成(ただしデータは別管理)
- クラウド環境でのクローン再作成:テンプレート化して即時復旧可能な構成を組む
Plesk自体は短時間で復旧しやすいツールであり、「可用性要件をどう担保するか」はPlesk外側の構成で補うのが基本です。
よくある誤解:「Plesk構成をマスター・スレーブにできないの?」
よくある誤解に、
「Pleskを2台用意して片方を待機系にすればいいのでは?」
という話がありますが、これは管理UIや内部設定の構造上ほぼ不可能です。
MySQLのレプリケーションや、ファイルシステムの同期(rsync等)を駆使すれば“見た目上”の同期はできますが、Pleskの設定オブジェクトやUI操作までは保証されません。公式サポート外であり、現実的には運用が破綻します。
Pleskでできること・できないこと(HA観点)まとめ
項目 | 対応可否 | 備考 |
単一ノード内のWeb・メール・SSL管理 | ◯ | 高機能GUIにより管理が簡単 |
複数ノード冗長構成(HA) | ✕ | ロードバランサ・同期構成は非対応 |
データバックアップとリストア | ◯ | 内蔵機能あり、外部保存も可能 |
管理者アカウント分離/グループ別運用 | ◯(Web Host) | サブスクリプションで分離運用可能 |
DNS切替による代替フェイルオーバー | ◯ | 外部DNSと組み合わせて可 |
まとめ:Pleskは“1台完結型”として選ぶべきツール
Pleskはあくまで単一ノードでの高機能管理に特化したツールです。
冗長化や可用性担保が厳格に求められる案件では、構成や可用性設計そのものを見直す必要があります。Pleskを「サーバ管理の効率化」「複数サイトの簡易管理」「保守運用の省力化」に使うのであれば、非常に効果的かつコストパフォーマンスも高い選択肢です。
クララでは、Pleskを用いた最適なサーバ構成や、BCPを意識した構成提案も行っています。