中国のインフルエンサー・網紅(ワンホン)最新事情
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『網紅(ワンホン)』とは
2018年6月、中国のインターネットユーザー数はついに8億を超え、世界のユーザー数の1/5を占める展開に。(『中国互联网络发展状况统计报告』より)
オンライン決済の浸透により、中国のネットビジネスの規模が益々拡大する中『網紅(ワンホン)』と呼ばれる人達が注目を浴びた。
中国の『網紅(ワンホン)』とは
そもそも『網紅(ワンホン)』とは一体何なんでしょう。
中国ではインターネットを『網』と呼びます。
『紅』とは中国語で人気という意味も持っています。
なので、『網紅(ワンホン)』とは『ネット上の人気者』を意味します。
日本でいう、人気ユーチューバーやインスタグラマーのことですね。
『網紅(ワンホン)』の種類
『網紅(ワンホン)』といっても、人気のきっかけや原因、主な配信ツールにより様々な種類があります。
ざっと書いてみると以下のようなタイプが存在します。
- 動画配信系
- モデル系
- 素人系
- 情報提供系
など。
では『網紅(ワンホン)』をタイプ別にもっと詳しく見ていきましょう。
△網紅(ワンホン)ー 動画配信系
動画配信系は『網紅(ワンホン)』の中でも一番見かけるタイプだと思います。
配信する動画の内容によって、同じ動画配信系網紅でも
- お笑い動画
- 動画ライブ
- メイク動画
- ゲーム実況動画
- カルチャー系動画
などのタイプが存在します。
①網紅(ワンホン)ー お笑い動画配信系
動画配信系の中で最も多いタイプだと思います。
中国版ツイッター・weibo(ウェイボー)や動画アプリ・快手(Kuai Shou)やTik Tokを主なプラットフォームとして動画配信を行っています。
代表的な人物として挙げられるのは、『2016年No.1網紅(ワンホン)』とも呼ばれた超人気網紅(ワンホン)・papi醤(ちゃん)です。
- papi醤
weiboフォロワー数:2986万(2018年12月時点)
2015年10月から動画を配信し始めたpapi醤。
動画中、papi醤は早口で癖ある声で自虐や周りの人のおかしな言動などをいじったりしています。
日本でいうと周りの同性をディスるお笑い芸人の横澤夏子さんに近いですね。
その他、自身のアイドル追っかけ事情(ジャニーズが好きだそうです)などを話したりなど、幅広い世代からの人気を得ています。
元々演劇科出身の素人だった彼女でしたが、動画配信を通してTV番組に出演するなど、『網紅(ワンホン)』の代表的な人物になりました。
②網紅(ワンホン)ー 動画ライブ配信系
もし中国で今日からでも『網紅(ワンホン)』になりたいというならば、動画ライブ配信が一番手っ取り早い方法でしょう!
近年動画ライブ配信サイトが急増した中国で話題になっている動画ライブ配信系網紅。
日本でいうと、ユーチューバーが一番近いですね!
『網紅(ワンホン)』達はこのようなサイトを通して視聴者に話しかけたり歌を歌ったりしています。
動画の内容については、雑談、歌唱から外国語を教えたりなど様々です。
このようなサイトでは通常チャット機能がついているので、視聴者はチャット機能を通して動画の発信者にリクエストすることが可能です。
その他、視聴者はライブ中にサイトのプレゼント機能を使って網紅(ワンホン)達にお金をあげることが出来ます。
これが動画ライブ配信系の網紅(ワンホン)の主な収入源になります。
このような動画ライブ配信サイトでは法に触れる動画配信をしなければ、素人でも開始することが出来ます。
素人大学生がライブ配信を通して、一夜で大金持ちになるという夢のような話はこの業界で珍しい話ではありません。
③網紅(ワンホン)ー メイク動画配信系&ゲーム実況動画配信系
メイク動画配信系もゲーム実況動画配信系も文字通り、メイクのプロセスやゲームをする動画などを配信しています。
この二つのタイプは日本や海外のユーチューブやインスタグラムでもよく見かけますね。
中国の『網紅(ワンホン)』はメイク動画を配信して、紹介した商品の売り上げ上昇に繋げます。
近年はそれを利用し、『網紅(ワンホン)』を通して商品をPRする会社も少なくはないです。
⑤網紅(ワンホン)ー カルチャー動画配信系
カルチャー動画では主に映画や音楽などを紹介したり海外のエンタメ情報をお届けします。
中国では色んな『大人の事情』のため、海外の音楽やドラマの地上波放映は制限されています。
ですので、中国のネットユーザー達はこのような動画を通して海外のエンターテイメントを楽しんでいます。
△網紅(ワンホン)ー モデル系
動画配信系網紅(ワンホン)の次はモデル系網紅(ワンホン)についてです。
モデル系網紅(ワンホン)は主に中国版ツイッター・weibo(ウェイボー)をプラットフォームにしています。
中国ではまたまた『大人の事情』のため、ツイッターやインスタグラムを使うのが難しいです。
インスタグラムでもよく見かけるように、網紅達はweiboを通して自分の写真や動画を投稿します。
網紅(ワンホン)になったことをきっかけで芸能界に入る方も少なくはないです。
メイク動画配信系の網紅(ワンホン)達と似ていて、モデル系網紅(ワンホン)もコスメや服飾企業と連携していることが多いです。
中には自身でブランドを立ち上げ成功した方もいます。
もちろん日本と同様、写真を加工しすぎて実物と写真に差がありファンが幻滅する場合もあります。(I●●Oさん「まぼろし~」)
△網紅(ワンホン)ー 素人系
素人系は主にニュースなどを通して、本人に網紅(ワンホン)になろうと意思はなかったものの網紅(ワンホン)になってしまった人たちのことを指しています。
人気の深夜番組『月曜から夜更かし』に出てくる話題の素人さん達と似ています。
中国では最近『1818黄金眼』というおかしな社会ニュースを取り上げた番組が話題になっています。
そこで最近街頭インタビューを受けたおかしな眉毛の呉くんがそのユニークな外見からSNSでの拡散で一躍人気者になりました。
元々ごく普通だった呉少年はインターネットを通して今やCMオファーが絶えない人気者に成り上がりました。
その他、代表的人物といえばタピオカミルクを片手に持った写真が可愛すぎると話題になった『奶茶妹妹(ミルクティーさん)』ですね。
その後ミルクティーさんは中国大手ECサイト・京東(Jing Dong)のCEOと結婚し、また一層話題になりました。
△網紅(ワンホン)ー 情報提供系
情報提供系は先ほど紹介したカルチャー動画配信系網紅(ワンホン)と若干似ています。
エンタメ情報を提供するなどを主な内容としてweiboなどを通して発信することでフォロワーを獲得しています。
モデル系網紅(ワンホン)のように直接商品の売り上げに影響することで収入を得たりすることはできませんが、フォロワー数が多いほどその発言影響力は大きく様々なビジネスにつながります。
その話はまた後程……
『網紅(ワンホン)』が人気の原因
網紅(ワンホン)が中国のネットユーザーから莫大な支持を受ける理由について、
- 主観的な原因:網紅(ワンホン)たち自身の面白さ、親近感
- 客観的な原因:中国のネット事情
があると思います。
網紅(ワンホン)たちの面白さや親近感、それは日本のユーチューバーが人気な理由と同じです。
芸能人と比べ、私たち一般ピープルとより近い感覚を持っている彼らだからこそできることだと思います。
客観的にみると、中国網紅(ワンホン)の大人気の背景には中国国内のネット事情が関わっていると見ます。
中国のネットユーザー数は基数が大きいので、拡散速度も速いです。
一夜で人気者になることも珍しくないです。
その他にも中国のネット規制や若者のTV離れ、スマホ依存など様々な理由があります。
『網紅(ワンホン)』の影響力
網紅(ワンホン)の定義基準として、一つがフォロワーの数です。
フォロワー数が多いほど、影響力を持っています。
網紅(ワンホン)が使っていたコスメや着用していた洋服は中国の大手ECサイトでも常に売上上位を占めています。
自身の影響力を使い、ボランティアや募金活動をする網紅(ワンホン)もいますが、悪いことに利用する網紅(ワンホン)も存在します。
例えば女優のAさんはライバル女優のBさんを陥れようとします。
Aさんは大金を使いフォロワー数が多い網紅(ワンホン)CさんにSNSでBさんの悪口を流してほしいと頼みます。
Cさんはお金を受け取り要求通りBさんの悪口を流します。
Cさんはフォロワー数が多いのでその書き込みはすぐにネットで話題になり、案の定Bさんの人気は急減します。
このように、フォロワー数が多い網紅(ワンホン)を利用して世論を左右することは中国のネット上で珍しくないことです。
中国のインターネットの拡散速度は異常に速いので良いことも悪いこともすぐに拡散されます。
一夜で人気者になることもあれば、一夜で消えることもあります。
例えば、動画ライブ配信サイトの某網紅(ワンホン)・Mさん。
ライブ配信中ふざけながら、中国国歌を歌ったことで一夜でネット上から消えてしまいました。
なので、中国でずっと網紅(ワンホン)でいることは容易なことではありません。
網紅(ワンホン)に好意的な人もいれば、反感する人もいます。
日本でも一部のユーチューバーのせいで、近年ユーチューバーに対してのイメージが段々と悪化しているのと同じです。
中国でも網紅(ワンホン)が様々な珍事件や騒ぎを起こすことは少なくないです。
目立ちたいという気持ちが昂ると人はおかしな方向に走りますからね……
『網紅(ワンホン)』の経済価値
近年中国市場をターゲットにした企業が網紅(ワンホン)をビジネスに取り組むことは少なくないです。
網紅(ワンホン)は芸能人と比べて同程度の影響力を持ちつつも、起用値段が比較的に低いです。
スモールスタートから始めたい企業、もしくは予算が少ない中小企業の間で人気があります。
これからも網紅(ワンホン)を使ったビジネスは多くなるでしょう。
中国の網紅(ワンホン)事情についての話は以上です。
最後までお付き合い頂きありがとうございました!